各国に直接出願する方法として、パリ条約ルートや欧州特許条約(EPC)ルートがあります。


パリ条約ルートは、基礎となる日本出願がある場合、この最初の特許出願の日から12ヶ月以内に、パリ条約に基づく優先権を主張して、パリ条約の同盟国毎に特許出願を行う方法となります。このルートで出願すると、各同盟国において、日本における出願日に出願をしたのと同様の扱いを受けることができます。なお、外国出願は、最初から各国の特許庁に対し、各国の法令に従って行う必要があります。


欧州特許条約(EPC)ルートは、EPO(欧州特許庁, European Patent Offiec)に行う1つの出願で欧州の多数の国への出願を行うことができ、権利を取得できる方法となります。特許出願は、英語、ドイツ語またはフランス語のいずれかで提出することができ、また、権利を取得したい国を出願時に指定する必要があります(指定国)。出願後、EPOでは特許出願の審査が一括して行われ、EPOで特許許可の決定が得られた場合、各指定国にその旨を届け出るとともに、必要な翻訳文(イタリアであればイタリア語、オランダであればオランダ語等)を提出することにより、自動的に国内特許を得ることができます。なお、登録以降は各国の国内法に基づいた取り扱いがなされます。

最近注目されている特許の権利取得ルートとしてPCTルートがあります。
PCTルート(PCT出願や国際特許出願とも呼ばれます)は、PCT(特許協力条約)に従って行う出願です。ひとつの方式及び言語でひとつの受理官庁に国際出願することによって、PCT加盟国であるすべての国に同時に出願したことと同じ効果が与えられます。例えば、日本語による願書、明細書等を日本国特許庁に出願すると、願書に記載した複数の指定国に同時に出願したものとみなされます。

しかし、ただ国際出願をしただけでは、指定国で特許をとることはできません。指定国で審査を受けるための国内移行の手続きが必要となります。国内移行の手続きは一定期間内(国際出願の出願日から、または、その国際出願が優先権を利用しているときにはその優先権の元となった日本出願の出願日から原則として30ヶ月間)に指定国の特許庁に対して行わなければなりません。この手続きをしなかった国では、一定期間後、出願を自動的に取り下げたものとみなされます。

このため、例えば日本で日本語の国際出願をして米国で特許をとりたい場合、米国特許商標庁へ国内移行の手続をします。その際に、国際出願の英語翻訳文を提出します。また、日本で特許をとりたい場合にも日本の特許庁に対して国内移行の手続が必要です。

また国際出願を行うと、日本国特許庁より国際調査報告書(先行技術に関するサーチレポート)とともにその発明が新規性,、進歩性など特許取得に必要な要件を備えているか否かについての審査官の見解が出願人に示されますので、国内移行の前に特許の可能性をある程度知ることができます。このとき、審査官の意見に同意できない場合は、国際予備審査という手続を行い、答弁書の提出や、手続補正を行うこともできます。